OpenClaw(オープンクロー)という名前を、最近のAIニュースで見かけた方も多いはずです。GitHubのスターは38万を超え(2026年8月14日時点)、AIエージェントとしては群を抜いた数が集まっています。
紹介のされ方は「自分のPCの中で動き続けるAIエージェント(=答えを返すだけでなく、作業そのものを引き受けるAI)」。少し身構えてしまう説明ですよね。
ただ、話題のわりに「自分のパソコンで動くのか」がはっきり書かれた情報は多くありません。とくにどれくらいのグラフィックボードが必要なのかは数字がばらばらです。この記事は公式リポジトリ・公式ドキュメント・NVIDIA公式ガイドを2026年8月14日に確認した内容だけで書いています。
OpenClawはクラウドのAIを使うなら普段づかいのPCでも始められ、AIを手元で動かすならVRAM 12GB以上が現実的な目安。ただし設定を誤ると危険なので、最新版で使うことと初期設定の確認が前提です。
- ソフト本体はオープンソースで無料。クラウドのAIを使う場合は各サービスの利用料が別途かかる
- 手元でAIを動かすなら最初の壁はVRAM。NVIDIA公式ガイドは6〜8GBから目安を示している
- 過去に深刻な脆弱性が報告され修正済み。必ず最新版を使い、外部から接続できる状態にしない
OpenClawとは?チャットアプリから使える「自分専用のAIエージェント」
OpenClawとは、手持ちのチャットアプリとAIエージェントをつなぐ、自分で用意して動かす橋渡し役のソフトです。公式ドキュメントの説明は「お気に入りのチャットアプリを、AIのコーディングエージェントにつなぐセルフホスト型のゲートウェイ」です(2026年8月14日確認)。
セルフホスト(=サービス会社のサーバーではなく、自分のPCで動かすこと)が特徴です。NVIDIA公式ブログもローカル環境やプライベートサーバー上で動作するよう設計された常時稼働型AIアシスタントと説明しています。
開発者はPeter Steinberger氏、ライセンスはMIT、対応OSはmacOS / Linux / Windowsです(2026年8月14日にリポジトリのLICENSEで確認)。
スター数は約38万6,000(2026年8月14日にGitHubの公式リポジトリで確認)。NVIDIA公式ブログによると2026年1月に10万、3月に25万を突破し、約60日でReactのスター数を追い抜いたと伝えられています。GitHub全体で見れば最多ではありませんが、AIエージェント系のソフトとしては群を抜いた規模です。
普段のチャットAIとの違いは、大きく3点あります。
- 置き場所:ブラウザの向こう側ではなく、自分の端末で動く
- 入口:専用アプリではなく、SlackやDiscordなど普段使いのチャットアプリ
- 役割:質問への回答だけでなく、手元のファイルの文脈を使った作業の代行

ざっくり言えば「チャットアプリ越しに動く、自分の家のAI」。導入は自作PCに近い自己責任の世界だと思っておくと感覚が合います。
OpenClawでできること(チャット連携・常時稼働・機能の拡張)
公式ドキュメントに記載されている主な機能は次のとおりです(2026年8月14日確認)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| つなげるチャットアプリ | Discord / Google Chat / iMessage / Matrix / Microsoft Teams / Signal / Slack / Telegram / WhatsApp / Zalo など(プラグイン方式) |
| 使えるAI | クラウドで提供されるAIと、手元で動かすローカルモデルの両方 |
| 会話の分離 | エージェント・ワークスペース・送信者ごとに分けられる |
| 扱えるデータ | 画像・音声・ドキュメントの送受信 |
| 操作画面 | ブラウザで開くWebコントロール画面/iOS・Android向けのモバイルノード |
決定的に違うのが常時稼働です。NVIDIAの解説によれば、OpenClawはハートビート(=一定間隔で自分からタスクリストを見に行く仕組み)を持ち、話しかけていない間も動きます。
ガイドが挙げる用途は個人秘書・プロジェクト管理・リサーチ支援。具体例は手元のファイルの参照、カレンダー連携、文脈を踏まえたメール返信の下書きなど。”skills” で機能を足せる点も特徴です。
よくある疑問:スマホのチャットAIアプリと、そんなに違うものなの?
違うのは「自分の環境に居座るかどうか」です。OpenClawは自分のPC上で動き続け、手元のファイルを前提に作業します。その分だけ便利さも、設定を誤ったときのリスクも大きくなります。ここが判断の分かれ目です。
自分のPCで動く?OpenClawに必要なPCスペックの目安


ここが最大の誤解ポイント。OpenClawは「AIそのもの」ではなくAIをつなぐ入れ物なので、必要なPCは「どこのAIを使うか」で変わります。
| 比べる点 | クラウドのAIを使う | 手元でAIを動かす |
|---|---|---|
| グラフィックボード | 必須ではない | VRAMの量が決め手 |
| 継続してかかる費用 | 各AIサービスの利用料 | 電気代(AI利用料はかからない) |
| データの行き先 | 外部のAIサービスへ送られる | 手元にとどめられる |
| 準備するもの | Node.jsとAPIキー | Node.js+推論用ソフト+モデル本体 |
クラウドのAIを使うなら動くのは橋渡し役のソフトだけなので、普段づかいのPCでも始められます。「データを外に出したくない」と手元のAIを選ぶなら、VRAMがそのまま上限に。GPUの基礎はGeForce RTXとは?GTXとの違いもどうぞ。
NVIDIA公式ガイドが示すVRAM別のモデル目安
NVIDIAのOpenClaw向けガイド(2026年3月15日公開/同年8月14日確認)は、VRAM容量ごとのモデル例を示しています。
| GPUのVRAM | ガイドが挙げるモデル例 |
|---|---|
| 6〜8GB | Qwen3.5 4B |
| 12〜16GB | Qwen3.5 9B / Gemma 4 12B |
| 24GB以上 | Qwen3.6 27B |
| DGX Spark | Qwen3.6 35B |
あくまで目安で、「これ以下では動かない」という線引きではありません。ただ実用性を考えると会話が続くサイズを狙うならVRAM 12GB以上が現実的なラインです。詳しくはMuse Glimmerとは?必要なVRAMと自分のPCで動くかを解説もあわせてどうぞ。
同ガイドはコンテキスト長(=AIが一度に読み書きできる文章量の上限)を32Kトークン以上、余裕があれば64K以上にすることを勧めています。短いと話が途切れやすくなります。
ソフト側ではNode.jsが必要で、公式ドキュメントの記載は推奨がNode 26、サポート対象がNode 22.22.3以上・24.15以上・25.9以上。なお公式ドキュメントにメモリ容量やCPUの具体的な要件は見当たりませんでした(2026年8月14日確認)。
ITmediaの2026年8月12日の報道によると、NVIDIAは2026年8月11日、OpenClawのような常時稼働エージェント向けのオープンモデル「Nemotron 3.5 Lightning」を公開したと伝えられています。
総パラメータ30B・アクティブ3BのMoE構成で、出力速度は毎秒約670トークンとされます。小さくても速いモデルが増えている流れです。
\VRAM12GB以上のモデルから探す/
ローカルで動かすときの大まかな流れ
手元のGPUでAIを動かす流れです。設定内容は環境ごとに変わるため、必ず公式ドキュメントの最新版を見ながら進めてください。
ガイドはどちらでもよいとしています。そのままのWindowsは設定が簡単でWindowsのアプリと連携しやすく、WSL(Windowsの中でLinux環境を動かす仕組み)はLinux前提の機能を使うときに向きます。macOSやLinuxならこの選択は不要です。
ガイドが挙げるのはLM Studio / Ollama / vLLMの3つ。
前章の表を見ながら、自分のグラフィックボードに収まるサイズを選びます。
32Kトークン以上、余裕があれば64K以上が推奨です。
「どの推論用ソフトの、どのモデルを使うか」を指定し、チャットアプリを有効にすれば会話できます。
5段と書くと簡単そうですが、どの段でも環境固有のつまずきが出やすいのが正直なところ。「1時間で終わる」と考えると、たいてい足りません。
使う前に必ず知っておきたい安全面


公式ドキュメントは届いたメッセージを信用しない前提で設計するよう明記しています。未知の送信者が既定でペアリング要求を出せるチャネルもあるため、外部公開の前に公式のセキュリティガイドを読むよう促されています。
過去には実際に深刻な報告もありました。セキュリティ企業のOasis Securityが2026年2月26日に公表した「ClawJacked」は、攻撃者のWebサイトを開くだけで、ページ内のスクリプトが手元のゲートウェイへ接続できてしまうというものです。
手元からの接続は自動承認される設計だったため、いったん通ると信頼済み端末として登録されてしまいました。バージョン2026.2.25以降で修正済みなので、いま必要なのは「最新版を使うこと」と「外部から届かない設定にすること」の2つです。
認証をかけないまま外部から接続できる状態にすることは公式が明確に禁じています。必ず最新版に更新し、外部公開しない形で使ってください。
公式が推奨している初期設定
- 1つのゲートウェイにつき利用者は1人。共用しない
- 動作モードをローカル、接続先をループバックにして外部から届かないようにする
- トークンによる認証を必須にし、長いランダムな文字列を使う
- 自動処理・実行系・ファイル操作系のツールは既定で無効にする
- 設定フォルダにはAIサービスの鍵や会話の記録が入るため、ディスク暗号化が強く推奨されている
- 公開状況や権限を点検できるコマンドがあり、設定変更のたびに実行する
入手経路にも注意を。2026年8月13日にはITmediaが、業務用PCでAIツール関連のサイトを閲覧中に偽の警告画面が出て遠隔操作ソフトを入れてしまい、約4000件のファイルが漏えいした可能性があるという国内企業の発表を報じています。導入は必ず公式のリポジトリと公式ドキュメントからたどりましょう。



安全か危険かの二択ではなく、初期設定と更新を守れるかどうかで結果が変わるソフトです。面倒に感じるなら、無理に手を出す必要はありません。
初心者はどう判断すればいい?向いている人・見送ってよい人


結論から言えば、多くの方はまず既存のチャットAIで足ります。タイプ別に整理します。
①今はクラウドのチャットAIで十分な人
調べものや文章の下書きが中心なら、自分でゲートウェイを立てる理由は薄いです。常時稼働の価値は「放っておいても動いてほしい作業」がある人にしか出ません。
②VRAM 12GB以上のGPUがあり、データを外に出したくない人
ここが一番かみ合うタイプです。資料やメモをクラウドへ送りたくないけれどAIには手伝ってほしい、という条件なら手元で動かす価値があります。ゲーム用に買ったGPU搭載PCがそのまま活きる領域です。主流の容量はSteamでVRAM 16GBが最多になった話もどうぞ。
③設定に不安があるなら、いまは見送ってよい
正直に書くと「入れれば使える」種類のソフトではありません。認証や公開範囲、権限を自分で判断する必要があり、詰め切れないまま動かすと脆弱性の話が他人事でなくなります。様子見も賢い選択です。
よくある疑問:いま話題のAI PCを買えば、こういうのは動くようになるの?
AI PCのNPUと、ローカルでAIモデルを動かすときに関わるGPUのVRAMは役割が別ものです。買い替えるならまずVRAMの容量を決めてから機種を選ぶのが失敗しにくい順序。違いはNPUとは?AI PCは本当に必要?で整理しています。
まとめ
- チャットアプリとAIエージェントをつなぐセルフホスト型のゲートウェイ。MITライセンスで主要OSに対応
- GitHubのスター数は約38万6,000(2026年8月14日時点)。約60日でReactを抜いたとNVIDIA公式ブログが伝えている
- クラウドのAIを使うなら普段づかいのPCでも始められる。手元で動かすならVRAMが上限を決める
- 公式ガイドの目安は6〜8GBでQwen3.5 4B、12〜16GBでQwen3.5 9BやGemma 4 12B、24GB以上でQwen3.6 27B
- 本体は無料だがクラウドのAIには利用料が別途。最新版で使い、外部公開しないことが前提
次にやることははっきりしています。いま使っているPCのVRAM容量を確認することです。12GB以上なら手元で動かす選択肢が見えますし、それ未満ならクラウドのAIで試すほうが無理がありません。買い替えるときも価格より先にVRAMの数字を決めるのが、AI用途で後悔しない順番です。
- OpenClawは無料で使えますか?
-
ソフト本体はMITライセンスのオープンソースなので利用料はかかりません。ただしクラウドのAIサービスにつなぐ場合は、そのサービスの利用料が別途かかります。金額は使うAIと使用量で変わるので、最新の料金は公式ページで確認してください(2026年8月14日時点)。
- Windowsのパソコンでも使えますか?
-
使えます。公式インストーラーはmacOS / Linux / Windowsに対応しています。手元でAIモデルを動かす構成でも、NVIDIAのガイドはそのままのWindowsとWSLのどちらでもよいとしており、設定の手軽さではそのままのWindowsを挙げています。
なお、公式が推奨するNode.jsはNode 26です(2026年8月14日確認)。
- グラフィックボードがないパソコンでも動きますか?
-
クラウドのAIサービスにつなぐ構成なら、計算は相手側で行われるためグラフィックボードは必須ではありません。手元でAIモデルを動かしたい場合はVRAMが上限を決めるので、NVIDIA公式ガイドの目安(6〜8GBから)を参考にしてください。
- ChatGPTやGeminiと何が違うのですか?
-
ChatGPTやGeminiは、開いて質問したときに答えてくれるサービスです。OpenClawは自分の端末に置いて動かす仕組みで、チャットアプリから話しかけられ、一定間隔で自分からタスクを確認して動き続けます。中身のAIにクラウドのサービスを指定することもできます。
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