自分のPCで画像生成AIやローカルLLMを動かしてみたい。でも、ローカルAIの電気代がどれくらい増えるのか分からず、手を出しにくい——そう感じている方は多いはずです。
ネット上には「画像1枚で数十円かかる」といった話も流れていて、余計に不安になります。
ローカルAIの電気代は、PC全体の平均消費電力・使用時間・電力単価から求めます。この記事の仮定ではRTX 5070搭載PCを1日2時間・30日使うと約810円ですが、構成や処理内容によって変わります。
電気代の試算は(GPUのTGP+その他100W)÷効率0.8をPCの消費電力とし、31円/kWhで計算します。TGPは公式仕様、その他100Wと効率80%は記事の仮定で、実測値ではありません。
- 電気代はPC全体の平均消費電力×時間×単価で計算。GPUだけでは決まらない
- RTX 5070で月約810円は、本文の仮定で1日2時間・30日使う試算
- 1,000枚で数十円という表は1枚10秒の仮定。実際の生成時間で変わる
- 待機60W・24時間・30日なら約1,340円。生成代との大小は使い方次第
- 電気代より先に、そのGPUに必要な電源ユニットの容量を確認したい
結論:ローカルAIの電気代はPC全体の消費電力と時間で計算する
ローカルAIとは、クラウドのサービスを使わず、自分のPCの中でAIモデルを動かす使い方のことです。画像生成AIやローカルLLMを手元で動かすのがこれに当たります。
電気代の計算に使うのは、GPU単体ではなくコンセント側のPC全体の平均消費電力です。生成中と待機中で消費電力が違うため、それぞれの電力と時間から電力量を求め、単価を掛けます。
RTX 5070のTGPを250Wとし、その他100W・効率80%を仮定すると約438W。31円/kWhなら1時間約13.6円、1日2時間・30日で約810円です。モニターなどは含みません。
これは条件をそろえた比較用の試算で、請求額や実機の消費電力を保証する数字ではありません。同じGPUでも、モデル・設定・処理時間によって電気代は変わります。
生成回数だけでなく、生成にかかった時間と待機時間も分けて確認すると、自分の使い方で減らせる電力量が分かります。待機時間のほうが必ず高いという意味ではありません。
どのくらいのGPUが必要かという話はいったん置いて、ここからは電気代に絞って進めます。
ローカルAIの電気代の計算方法|GPUの消費電力だけでは足りない

よくある疑問:GPUの消費電力が250Wなら、そのまま250Wぶんの電気代になるの?
実際にGPUが250Wを使っているなら、PC全体ではほかの部品や電源の損失も加わります。ただし、仕様表のTGPが250Wというだけで、常時250Wを消費しているとは判断できません。
電気代の基本の式と1kWh=31円の根拠
電気代の計算式そのものは、とてもシンプルです。
電気代 = PC全体の消費電力(kW)× 使った時間(h)× 1kWhあたりの単価
kWh(=1,000Wの機器を1時間動かしたときの電力量)は、電気の請求で使われる単位です。1kWhあたりいくら、という形で単価が決まります。
この記事では31円/kWh(税込)を使います。家電公取協のQ&Aに掲載された目安単価で、令和4年7月22日改定の値です(2026年9月22日確認)。
この目安単価は、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会が公表する「電力取引報」の集計値などに基づいて算出されています。
ただし、これはあくまで計算用の目安です。実際の単価は契約プラン・地域・時間帯で変わるため、この記事の電気代も「31円/kWhで計算した目安」として読んでください。
GPUのTotal Graphics Powerは「パーツ単体」の数字
NVIDIA公式仕様のTotal Graphics Power(TGP)は、グラフィックスカードの電力仕様です。RTX 5070は250W、RTX 5090は575Wですが、AI実行中の実測平均値ではありません。
ここで注意したいのが、この数字はコンセントから引く電力ではないということ。あくまでGPU1枚ぶんの値です。
PC全体には、GPU以外の部品が使う電力と電源の変換損失も含まれます。一方、GPUの実際の電力は処理内容によって変わるため、PC全体が常にTGPの数値より大きいとは限りません。
その他のパーツと電源ユニットの変換ロスを足す
1つめはGPU以外のパーツです。CPU・メモリ・SSD・ファン・マザーボードも電気を使います。この記事では、まとめて100Wと仮定して計算します。
2つめは電源ユニットの変換ロス。コンセントの電気をPC内部用に作り替えるとき、一部が熱として失われます。
80 PLUS認証は、規定の負荷・電圧などの条件で電源の効率を評価する仕組みです。公式の認証基準表ではランクや試験区分ごとに条件が異なり、全使用状況で一律80%以上という保証ではありません。
この記事の効率80%は計算のために置く仮定です。認証ランクから求めた実機の効率でも、あらゆる負荷での下限でもありません。
以上をまとめると、この記事の試算条件は次のとおりです。
| 項目 | この記事で置いた値 |
|---|---|
| 電力単価 | 31円/kWh(税込・家電公取協の目安単価) |
| GPU以外のパーツ | 合計100Wと仮定 |
| 電源ユニットの効率 | 80%と仮定(認証の全負荷共通の下限ではない) |
| PC全体の消費電力 | (GPUのTGP+100W)÷ 0.8 |
| 含めていないもの | モニター・ルーターなどの周辺機器 |
「その他100W」「効率80%」は記事の仮定で、実際は構成や負荷によって変わります。TGPもAIの平均消費電力ではないため、正確に把握するならコンセント側の電力量を測り、契約単価を使います。

電源の認証ランクごとの効率差や、ゴールド・ブロンズの違いは電源そのものの記事に任せています。ここでは「ロスがある」だけ押さえておけば十分です。
普段のゲームや作業も含めた話はゲーミングPCの電気代は月いくら?で扱います。以下はAI稼働中のPC全体の電気代の試算で、AIを始める前との差額を示すものではありません。
GPU別に見るローカルAIの電気代の目安|1時間・1か月でいくら
以下は(TGP+100W)÷0.8、31円/kWhという共通の仮定で計算した6機種の比較です。消費電力が一定として扱っており、モニター・ルーターやAI以外の時間の電気代は含みません。
1日2時間・1日8時間の電気代を比較
| GPU | Total Graphics Power | PC全体(試算) | 1時間の電気代 | 1日2時間×30日 | 1日8時間×30日 |
|---|---|---|---|---|---|
| RTX 5060 | 145W | 約306W | 約9.5円 | 約570円 | 約2,280円 |
| RTX 5060 Ti | 180W | 約350W | 約10.9円 | 約650円 | 約2,600円 |
| RTX 5070 | 250W | 約438W | 約13.6円 | 約810円 | 約3,260円 |
| RTX 5070 Ti | 300W | 約500W | 約15.5円 | 約930円 | 約3,720円 |
| RTX 5080 | 360W | 約575W | 約17.8円 | 約1,070円 | 約4,280円 |
| RTX 5090 | 575W | 約844W | 約26.2円 | 約1,570円 | 約6,280円 |
Total Graphics PowerはいずれもNVIDIA公式の製品ページに記載された値です(2026年9月14日確認)。電気代は31円/kWhで計算した目安です。
この仮定では、RTX 5060〜5070は1日2時間・30日で1,000円未満という結果です。実際の構成・稼働時間・単価が違えば結果も変わるため、月の電気代の上限としては使えません。
同じ仮定でRTX 5090は1日2時間・30日なら約1,570円、1日8時間・30日なら約6,280円です。GPUの性能比較ではなく、条件を固定した電気代の計算例として確認してください。
GPUが常にTGPどおりの電力を使うわけではありません。CPUなどの消費や変換効率も一定ではないため、この表はPC全体の最大電気代を示すものでもありません。
画像1枚あたりの電気代|1枚10秒と仮定した計算例
下表は、前の試算電力と31円/kWhに加えて、すべてのGPUで1枚10秒と仮定した計算です。同じ画像を各GPUが10秒で生成できるという実測・性能比較ではありません。
| GPU | 画像1枚のローカルAIの電気代 | 画像1,000枚 |
|---|---|---|
| RTX 5060 | 約0.026円(約3銭) | 約26円 |
| RTX 5070 | 約0.038円(約4銭) | 約38円 |
| RTX 5080 | 約0.050円(約5銭) | 約50円 |
| RTX 5090 | 約0.073円(約7銭) | 約73円 |
この条件なら1,000枚で約26〜73円です。1枚にかかる時間や処理内容が違う場合は、この電気代をそのまま使わず、実際の電力と総生成時間で計算してください。
生成時間はモデル・解像度・ステップ数などで変わります。枚数を増やすと総処理時間も延びるため、「枚数を増やしても電気代は変わらない」とは言えません。
たとえば同じ試算電力のRTX 5070で、1枚10秒を1分に変えると時間は6倍となり、1枚約0.23円です。時間が延びれば電気代も比例して増える、という計算例です。



1枚あたりの電気代を見かけたら、モデルや設定、所要時間、PC全体の消費電力を確認しましょう。条件が違う数字同士では、高い・安いを判断できません。
生成中と待機中のローカルAIの電気代を分けて比べる


よくある疑問:たくさん生成した月は、電気代がはっきり上がるものなの?
総生成時間が伸びれば、その分の電気代は増えます。一方、生成せずにつけている時間も電力を使うため、生成中と待機中の電力量をそれぞれ確認します。どちらが大きいかは使い方によります。
ここでいう待機は、PCが起動しているもののAIを処理していないアイドル状態です。スリープとは別で、下表は30W・60W・80Wを24時間×30日使うと仮定し、31円/kWhで計算しています。
| 待機中のPC全体の消費電力 | 24時間×30日の電気代 |
|---|---|
| 30W | 約670円 |
| 60W | 約1,340円 |
| 80W | 約1,790円 |
待機電力の3つの数値は比較用の仮定で、特定のPCの実測ではありません。実際には構成やバックグラウンド処理などで変わるため、ご自身のPCで測って確認してください。
生成中の電気代はRTX 5070相当の試算電力で1日2時間・30日、約810円。待機の例は60Wで24時間・30日、約1,340円です。比較する時間が違う2つのシナリオで、同じPCの月間内訳ではありません。
消費電力と時間の積が大きい側ほど、電気代も大きくなります。図は短い生成と長い待機を描いた一例で、長時間生成する使い方でも待機が上回るという意味ではありません。
実際の月の電気代を求めるときは、生成・待機・スリープなどの時間を重複させず、それぞれの電力量を合計します。使わずに待機している時間が長ければ、そこを減らすことが節約につながります。
つけっぱなしとシャットダウンのどちらが良いかは、寿命の話も絡んで一概には決められません。判断材料はパソコンはつけっぱなし?毎回シャットダウン?にまとめています。
自分のPCを確認するときは、部品の電力表示とコンセント側のPC全体の電力を区別してください。ソフトのGPU Power表示だけでは、PC全体の電気代は求められません。
GPU単体の電力は、モニタリングソフトのGPU Power表示で確認できます。コンセント側の実際の電力を知りたいなら、ワットチェッカーを挟むのが確実です。



使わない時間をスリープや電源オフにできるか、作業に合わせて設定しましょう。復帰にかかる時間や節約できる量は機種・設定によって変わります。
電気代より先に確認したいGPUの電源ユニット容量
ローカルAIのために新しいGPUを足すなら、電気代の前に確認すべきことがあります。その電源ユニットで、そもそも動くのかです。
NVIDIAは公式仕様表に、Total Graphics Powerとは別に「Required System Power(システム要件 電力)」という必要な電源ユニットの容量を載せています。
| GPU | Total Graphics Power | 必要システム電源容量 | 補助電源 |
|---|---|---|---|
| RTX 5060 | 145W | 550W | PCIe 8ピン×1 または300W以上のPCIe Gen 5ケーブル×1 |
| RTX 5060 Ti | 180W | 600W | PCIe 8ピン×1 または300W以上のPCIe Gen 5ケーブル×1 |
| RTX 5070 | 250W | 650W | PCIe 8ピン×2 または300W以上のPCIe Gen 5ケーブル |
| RTX 5070 Ti | 300W | 750W | PCIe 8ピン×2 または300W以上のPCIe Gen 5ケーブル |
| RTX 5080 | 360W | 850W | PCIe 8ピン×3 または450W以上のPCIe Gen 5ケーブル×1 |
| RTX 5090 | 575W | 1000W | PCIe 8ピン×4 または600W以上のPCIe Gen 5ケーブル×1 |
いずれもNVIDIA公式の製品ページに記載された値です(2026年9月14日確認)。
RTX 5090は1000W以上の電源ユニットが前提です。しかもNVIDIAは、この最小要件がRyzen 9 5900Xを搭載したPCを基準にした値だと注記しています。
手元のPCが650W電源のままRTX 5080や5090へ載せ替えると、NVIDIAが示す必要容量を大きく下回ります。GPUだけ買い替えても、電源が足りなければ起動しない・高負荷時に落ちるといったことが起こり得ます。
補助電源のケーブルも見落としがちです。RTX 5070とRTX 5070 Tiは、PCIe 8ピン2本か300W以上のPCIe Gen 5ケーブルを使います。
RTX 5080は8ピン3本、RTX 5090は8ピン4本が必要です(いずれもNVIDIA公式・2026年9月14日確認)。古い電源だと本数が足りないこともあります。
容量の考え方はゲーミングPCの電源は何Wあれば安心?で詳しく整理しています。自分で容量と本数を確認するのが不安な場合、BTOのように構成に合わせて電源が選ばれている買い方のほうが安心です。
\AI時代の相棒探し/



電気代は構成・処理時間・単価で変わります。GPUを追加する場合は費用の試算とあわせて、電源ユニットや補助電源がその製品の要件を満たすかも確認してください。
ローカルAIの電気代を抑える4つの方法
対策は、待機時間を減らす方法と、処理中の電力量を見直す方法に分けられます。効果の大きさや順番は、自分の使用時間と処理内容で判断してください。
不要な待機時間を減らす
1つめは使わない時間にスリープか電源オフにすること。起動したまま放置する時間が長い場合に、その間の電力量を減らせます。生成中の電気代より必ず大きいわけではありません。
2つめはたくさん作るときはまとめて生成すること。1枚ずつ思い出したように動かすと、その合間にPCが待機したままになります。
作りたい内容をまとめて処理し、終わったらスリープなどに移れるなら、合間の待機を減らせます。まとめて生成するだけで、処理そのものの電力量が必ず減るわけではありません。
消費電力そのものを下げる
3つめはGPUの電力制限やアンダーボルトを検討すること。ただし、処理が遅くなる場合もあるため、電力のW数だけでなく同じ作業を終えるまでの電力量と安定性で比較します。
手順はグラボのアンダーボルト・電力制限で静音&低発熱にする方法にまとめました。設定を触るので、変更前の値は必ず控えておいてください。
4つめは用途に合う軽いモデルを試すこと。量子化やモデルの変更では出力品質や速度も変わるため、必要な品質を満たすかと、完了までの時間・電力量を合わせて確認します。
モニターの明るさや電気料金プランの見直しといった一般的な節約は、AIに限らずPC全体の話です。そちらは前に挙げたゲーミングPCの電気代の記事にまとめてあります。
| やること | 確認する効果と条件 |
|---|---|
| 使わない時間はスリープ | 不要な待機時間を減らす。効果は待機電力と時間による |
| まとめて生成する | 合間の待機を減らし、終了後にスリープできるか確認 |
| GPUの電力制限 | 処理時間や安定性も含め、作業完了までの電力量を比較 |
| 軽いモデルを選ぶ | 必要な品質を満たすかと、完了までの電力量を比較 |
まとめ|ローカルAIの電気代は生成・待機の電力量から確認する
自分の構成と使用時間に近い条件で計算すると、どこを見直せるか判断しやすくなります。この記事の電気代は実測ではなく、共通の仮定による試算です。
- PC全体の電力を使う。TGP+その他100W、効率80%は記事の計算用の仮定
- 電気代の表は31円/kWh・30日で試算。周辺機器やAI以外の時間は含まない
- 生成時間と待機時間を分け、同じ時間を二重に足さず電力量を比較する
- GPUを足す前に、必要システム電源容量と補助電源の本数を確認
- 単価・消費電力は変わるので、最新は公式サイトで確認を
まずは生成中と待機中の電力量・使用時間を確認し、契約単価で計算してみてください。不要な待機を減らすことと、同じ作業を終えるまでの電力量を見直すことが、具体的な節約の判断材料になります。
ローカルAIの電気代に関するよくある質問
- クラウドの月額課金サービスと比べて、ローカルAIの電気代は安いですか?
-
使用条件によります。この記事の電気代はTGP+その他100W・効率80%・31円/kWhでの試算で、周辺機器や待機時間、PC購入費は含みません。同じ用途と利用量で、クラウドの最新料金とPCの購入・運用費を比較してください。
- 電気代が急に上がったのは、ローカルAIを始めたせいでしょうか?
-
原因はこの記事の試算だけでは判断できません。PCの生成中・待機中の電力量と使用時間を確認し、以前より増えたか比較してください。電力単価やほかの家電の使用も変わっていないか確認すると、原因を整理できます。
- ノートPCでもローカルAIの電気代は同じくらいかかりますか?
-
一般にノートPC向けのGPUは消費電力の枠が小さく設定されるため、同じ名前のGPUでもデスクトップより低くなる傾向があります。ただし機種ごとに設定値が違うので、この記事の表をそのまま当てはめることはできません。メーカーの仕様表で確認するのが確実です。
- 電気代のために、生成する回数を減らしたほうがいいですか?
-
生成時間が減れば、その時間に使う電力量も減ります。「1,000枚で数十円」は1枚10秒という仮定で、長時間の処理にも当てはまるわけではありません。生成中と不要な待機の電力量を比べ、減らしやすい部分から見直してください。
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