ゲームのグラフィック設定で「レイトレーシング」という項目を見つけて、「オンにすると何が変わるんだろう?」と気になった方は多いのではないでしょうか。名前からして難しそうで、よく分からないままオフにしている…という方もいるはずです。
先に結論からお伝えすると、レイトレーシングとは、光の動きをコンピューターで計算して、反射や影を本物そっくりに描く技術です。オンにすると映像のリアルさが増しますが、パソコンへの負担が大きくなり、動作が重くなりやすいという特徴があります。
この記事では、レイトレーシングの仕組みと「オンにすると何が変わるのか」、重くなる理由とその対策、そして快適に楽しめるおすすめのゲーミングPCまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。設定画面で迷わなくなるだけでなく、グラボ選びの判断材料にもなりますので、ぜひ最後までご覧ください。
- レイトレーシングの意味と仕組み
- オンにすると変わる「映り込み・影・光」の3ポイント
- 動作が重くなる理由とDLSSで軽くする定番の対策
- レイトレーシングを快適に楽しめるおすすめゲーミングPC
レイトレーシングとは?光の反射や影を本物のように描く技術

レイトレーシング(Ray Tracing)とは、光の線(レイ)が進む道すじをコンピューターで追跡(トレース)して、反射・屈折・影を物理法則どおりに描く映像技術です。日本語では「光線追跡法」と呼ばれ、名前のとおり光を1本ずつたどって画面を作り上げます。
現実の世界で私たちがモノを見られるのは、太陽やライトから出た光が物体に当たって跳ね返り、目に届くからですよね。レイトレーシングは、この「光の旅」をそのまま計算で再現します。だからこそ、水たまりへの映り込みや影のぼけ方が、本物と同じ理屈で描かれるのです。
従来の描き方(ラスタライズ)とどう違う?
これまでのゲーム映像は、主に「ラスタライズ」という方法で描かれてきました。こちらは光の動きを計算するのではなく、あらかじめ用意した情報を使って「それらしく見せる」テクニックの積み重ねです(=書き割りの背景のように、あらかじめ描いた絵で見せる作り方)。処理が軽いのが長所ですが、映り込みや影にはどうしても作り物っぽさが残ります。
| 項目 | ラスタライズ(従来) | レイトレーシング |
|---|---|---|
| 描き方 | それらしく見せる工夫 | 光の動きを実際に計算 |
| 映り込み | 簡易的で省略されがち | 周囲の景色を正確に反映 |
| 影 | 輪郭が固定的 | 距離に応じて自然にぼける |
| 処理の重さ | 軽い | 重い |

光の動きを計算するため、映画のCGにも通じる自然な表現ができます。
まさにそのとおりで、レイトレーシング自体は映画のCG制作の世界で昔から使われてきた手法です。ただ計算量がとても多いため、ゲームのようにリアルタイムで使えるようになったのは、専用の計算回路を持つグラボが登場してからなんです。グラボの役割そのものを知りたい方は「グラボ(GPU)とは?」も合わせてご覧ください。
レイトレーシングをオンにすると何が変わる?3つのポイント


「で、実際オンにすると何が変わるの?」という疑問にお答えすると、大きく変わるのは「映り込み」「影」「光の回り込み」の3つです。順番に見ていきましょう。
①映り込み(反射)が正確になる
いちばん分かりやすいのが反射の表現です。水たまり・ガラス・磨かれた床などに、画面の外にある景色までしっかり映り込むようになります。従来の方法には「画面に映っているものしか反射に使えない」という弱点があり、視点を動かすと映り込みが消えてしまうことがありました。レイトレーシングならこうした不自然さがなくなります。
②影が現実と同じようにぼける
現実の影をよく観察すると、物体から離れるほどふんわりぼやけていますよね。レイトレーシングでは、この影のぼけ方まで物理的に正しく再現されます。キャラクターや建物が地面に「ちゃんと置いてある」ように見えて、映像全体の説得力が一段と増します。
③光の回り込み(間接光)で明るさが自然になる
白い壁に当たった光が跳ね返って部屋全体をやわらかく照らす、という現象を「間接光」と呼びます(=光源から直接ではなく、跳ね返って届く光のこと)。レイトレーシングをオンにすると、この光の回り込みが自然に再現され、室内や日陰の明るさがのっぺりしなくなります。
| 変わる場所 | オフのとき | オンのとき |
|---|---|---|
| 水たまり・ガラス | 簡易的な映り込み | 周囲の景色がリアルに映る |
| 影 | 輪郭がくっきり固定 | 距離に応じて自然にぼける |
| 室内・日陰の明るさ | のっぺりしがち | 光が回り込んで自然 |
| 夜のネオン・光源 | 光るだけ | 路面や建物に反射して映える |



夜の街や水たまりのネオンは、レイトレーシングの違いを感じやすい場面です。
特に違いを感じやすいのは、夜の街・雨上がりのシーン・ガラスや鏡の多い室内です。逆に、明るい昼間の野原のように反射や間接光の少ない場面では、違いが分かりにくいこともあります。「どんなシーンでも劇的に変わるわけではない」という点は、先に知っておくとがっかりせずに済みます。
レイトレーシングをオンにすると重くなる理由


ここまで読むと「じゃあ常にオンでいいのでは?」と思いますよね。ところが、レイトレーシングには処理がとても重いという大きな弱点があります。オンにすると、フレームレート(=1秒間に描かれるコマ数)が大きく下がってしまうことがあるのです。
重くなる理由はシンプルで、画面の点(ピクセル)ひとつひとつに対して、光の道すじを何本も計算する必要があるからです。フルHDの画面だけでも約207万個のピクセルがあり、それぞれで反射や影の計算を行い、さらにそれを1秒間に60回以上も繰り返します。従来の「それらしく見せる」方式と比べて、計算量はまさに桁違いなんです。
快適に動かすには対応グラボがほぼ必須
この膨大な計算を一手に引き受けるのがグラボ(GPU)です。最近のグラボにはレイトレーシング専用の計算回路(NVIDIAではRTコアと呼ばれます)が搭載されていて、GeForce RTXシリーズがその代表例です。専用回路が光の計算を高速で処理してくれるおかげで、ゲームを遊びながらのレイトレーシングが現実的になりました。



性能が足りないグラボで無理にオンにすると、カクカクになってしまうので注意ですね。
裏を返せば、専用回路のない古いグラボや性能控えめのグラボでは、オンにしても快適に遊べないことが多いということです。設定でオンにできても、フレームレートが下がりすぎて操作がもたつくようなら、無理せずオフにするのも立派な選択ですよ。
重さ対策の定番は「DLSSとセットで使う」こと
「リアルな映像は楽しみたい。でもカクカクは嫌…」という悩みを解決してくれるのが、DLSS(ディーエルエスエス)との併用です。レイトレーシング対応ゲームの多くは、DLSSにも同時に対応しています。
DLSSとは、AIの力を借りて低めの解像度で描いた映像を、高解像度のきれいな映像に変換する技術です(=描く量を減らして負担を軽くする仕組み)。レイトレーシングで増えた負担をDLSSで打ち消す、というイメージですね。
「レイトレーシングON+DLSS ON」は、いまや定番の組み合わせになっています。仕組みを詳しく知りたい方は「DLSSとは?」で解説しています。
| 設定の組み合わせ | 映像のリアルさ | 動作の快適さ |
|---|---|---|
| レイトレOFF | ふつう | 軽い |
| レイトレONのみ | とてもリアル | 重くなりやすい |
| レイトレON+DLSS | とてもリアル | 軽さを取り戻せる |
なお、AMD製のグラボやDLSS非対応の環境では「FSR」という似た技術が使えることがあります。違いが気になる方は「FSRとは?」も参考にしてみてください。いずれにしても、レイトレーシングを楽しむなら、こうした軽量化技術とのセット運用が前提と考えておくと失敗しません。
レイトレーシングを快適に楽しめるおすすめゲーミングPC
ここからは、レイトレーシングとDLSSの両方をしっかり活かせる、おすすめのゲーミングPCを紹介します。当サイトでは、国内BTOメーカー大手ドスパラの「GALLERIA(ガレリア)」シリーズをおすすめしています。カスタマイズの自由度が高く、サポートや納期の面でも初心者の方が選びやすいのが理由です。
【レイトレ+DLSSを快適に】GALLERIA XPR7A-R57-GD


- CPU:Ryzen 7 7700
- GPU:GeForce RTX 5070 12GB
- メモリ:16GB DDR5
- ストレージ:1TB Gen4 SSD
- 価格:324,980円(税込)
搭載されているGeForce RTX 5070は、レイトレーシング専用コアを備えた最新世代のグラボで、DLSSのフレーム生成機能にも対応しています。「レイトレーシングON+DLSS ON」という定番設定を、そのまま実践できる構成です。
CPUには8コアのRyzen 7 7700、メモリは16GB DDR5、ストレージは1TB Gen4 SSDと、ゲーミングPCとしてバランスの良いまとまりになっています。



レイトレーシングとDLSSに対応し、きれいな映像と快適さの両立を目指しやすい構成です。
「もう少し予算を抑えたい」「他の構成も見てみたい」という方は、ドスパラ公式サイトでラインナップを見比べてみるのがおすすめです。
まとめ:レイトレーシングは「光を計算するリアル表現」。DLSSとセットで楽しもう
最後に、この記事のポイントを振り返りましょう。
- レイトレーシングとは、光の動きを計算して反射や影を本物のように描く技術
- オンで変わるのは「映り込み・影・光の回り込み」の3つ
- 弱点は計算量が膨大で動作が重くなること
- DLSSとの併用が定番で、リアルさと快適さを両立できる
- 快適に楽しむならRTXシリーズなど対応グラボ搭載のゲーミングPCを選ぶ
レイトレーシングは、ゲームの世界を「作り物の風景」から「本当にそこにある風景」へ近づけてくれる技術です。対応グラボとDLSSの組み合わせを押さえておけば、初心者の方でも今日からリアルな映像を楽しめます。まずは気になるゲームがレイトレーシングに対応しているかチェックして、対応PCで最高の映像体験を味わってみてくださいね。
- レイトレーシングはどのパソコンでも使えますか?
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いいえ、対応したグラボ(GPU)が必要です。NVIDIAのGeForce RTXシリーズのように、レイトレーシング専用の計算回路を持つグラボが代表例です。専用回路のない古いグラボでは、そもそも設定に項目が出ないか、オンにできても快適に動かないことが多いです。
- オンにするとどのくらい重くなりますか?
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ゲームタイトルや画質設定、シーンによって大きく変わるため一概には言えませんが、フレームレートがはっきり下がるケースは珍しくありません。DLSSなどの軽量化技術と併用すれば、リアルさを保ったまま快適さを取り戻しやすくなります。
- レイトレーシングをオフにしてもゲームは楽しめますか?
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もちろん楽しめます。オフでも従来の方法で十分きれいな映像が描かれますし、対戦ゲームなどではフレームレートを優先してあえてオフにするプレイヤーも多いです。「映像重視ならオン、快適さ重視ならオフ」と使い分けるのがおすすめです。
- 設定にある「パストレーシング」とは何が違うのですか?
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パストレーシングは、レイトレーシングをさらに徹底して、画面のほぼすべての光を計算で描く上位版のような技術です。映像は一段とリアルになりますが、そのぶん負荷も別格に重いため、高性能なグラボとDLSSなどの併用が前提になります。
- DLSSが使えないグラボの場合はどうすればいいですか?
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AMD製グラボなどDLSSに対応していない環境では、多くのゲームで「FSR」という似た軽量化技術が使えます。それでも重い場合は、レイトレーシングの品質設定を一段下げる、解像度を下げるなどの調整で快適さを優先しましょう。









