「ゲームの設定画面にあるFSRって何?」「オンにすると画質が悪くなるって聞いたけど本当?」——そんな疑問をお持ちではないでしょうか。最近のPCゲームでは当たり前のように見かける項目なのに、意外ときちんと説明される機会が少ないんですよね。
FSRは、かんたんに言うと「ゲームを軽くしながら、見た目のきれいさをできるだけ保つ」ための技術です。しかも特定のグラボ専用ではなく、幅広い環境で使えるのが大きな特徴。仕組みを知っておくと、手持ちのPCでも設定ひとつで快適さがグッと変わることがあります。
この記事では、FSRとは何かという基本から、よく比較されるNVIDIAのDLSSとの違い、「結局どっちがきれいなのか」という気になるポイント、実際に使うときの設定のコツまで、パソコン初心者の方にも分かるようにやさしく解説します。
- FSRの意味と仕組み(アップスケーリング技術の基本)
- FSRとDLSSの違い(対応グラボ・処理方式)
- 「どっちがきれいか」を判断する目安
- FSRを実際に使うときの設定のコツ
FSRとは?AMDが開発した「軽くてきれい」を両立する技術

結論から言うと、FSRとは、AMDが開発した「アップスケーリング技術」で、ゲームをいったん低めの解像度で描画してから、高い解像度に賢く引き伸ばして表示する仕組みのことです。正式名称は「FidelityFX Super Resolution(フィデリティFXスーパーレゾリューション)」で、頭文字を取ってFSRと呼ばれています。
なぜそんな回りくどいことをするのかというと、ゲームの映像は解像度が高いほど描画の負担が重くなるからです。たとえば4K(=フルHDの約4倍の情報量がある高解像度)でゲームを動かすと、高性能なグラボでもカクついてしまうことがあります。
そこで内部的には軽めの解像度で描画しておき、画面に映す直前にFSRがきれいに拡大する。こうすることで、画質の低下を抑えながらfps(=1秒あたりのコマ数。快適さの指標)を引き上げることができるわけです。
よくある疑問:画質をあまり落とさずに軽くなるなんて、そんなうまい話があるの?
もちろんまったくの無劣化というわけではありません。ただ、単純に引き伸ばすとぼやけてしまう映像を、輪郭の復元や補正処理によって「ぼやけを感じにくく」してくれるのがFSRの賢いところです。設定ひとつでfpsが大きく変わることもあるため、重いゲームを快適にするための切り札として広く使われています。
最大の特徴は「グラボのメーカーを選ばない」こと
FSRのいちばんの特徴は、AMDのRadeonだけでなく、NVIDIAのGeForceやIntelのグラボでも使えるという幅広さです。FSRはオープンな技術として公開されているため、ゲーム側が対応してさえいれば、グラボのメーカーを問わず利用できます。そもそもグラボの役割からおさらいしたい方は、グラボ(GPU)とは?の解説記事もあわせてどうぞ。
ただし注意点もあります。FSRの最新世代に搭載されたAIを使う機能は、一部の新しい世代のRadeon専用となっており、「FSRのすべての機能がどのグラボでも使える」わけではありません。このあたりは次のセクションで詳しく整理しますね。
FSRの仕組みと世代ごとの進化
FSRとひと口に言っても、実は世代によって仕組みが大きく異なります。まずはざっくり全体像を表で整理してみましょう。
| 世代 | 方式 | ざっくり特徴 |
|---|---|---|
| FSR 1 | 空間型 | 今映っている1枚の画像だけを使って拡大。処理は軽いが細部はやや苦手 |
| FSR 2 | 時間型 | 過去のフレーム(=コマ)の情報も使って補正し、画質が大きく向上 |
| FSR 3 | 時間型+フレーム生成 | コマとコマの間に中間のコマを作り、体感の滑らかさをさらに底上げ |
| FSR 4 | AI型 | 機械学習を使った補正で画質が向上。対応は新しい世代のRadeonに限定 |
進化の中でも大きな転換点は2つあります。1つ目は「フレーム生成」機能の追加です。これはアップスケーリングとは別のアプローチで、描画されたコマとコマの間に「中間のコマ」を作って挿入することで、実際の描画回数以上に映像を滑らかに見せる技術です。アップスケーリングと組み合わせることで、重いゲームでもかなり滑らかな表示が期待できます。
2つ目はAI(機械学習)を使った補正への進化です。従来のFSRは計算式による補正が中心でしたが、最新世代では機械学習を活用することで、細かい模様や動きの速い場面での画質が改善されています。ただし前述のとおり、このAI型のFSRは対応するRadeonの世代が限られている点は覚えておきましょう。
なお、ゲームごとに対応しているFSRの世代は異なります。同じ「FSR対応」と書かれていても、古い世代のFSRしか使えないゲームもあれば、最新世代まで対応しているゲームもある、という点も知っておくと混乱しにくいですよ。
FSRとDLSSの違いを初心者向けに比較

FSRとセットで必ず名前が挙がるのが、NVIDIAの「DLSS」です。DLSSは目的こそFSRと同じですが、NVIDIAのGeForce RTXシリーズ専用で、AI処理を前提としている点が大きく異なります。DLSSの仕組みそのものについては、DLSSとは?の解説記事で詳しく紹介しているので、あわせて読むと理解がぐっと深まります。
| 項目 | FSR | DLSS |
|---|---|---|
| 開発元 | AMD | NVIDIA |
| 使えるグラボ | メーカーを問わず幅広い | GeForce RTXシリーズのみ |
| 処理方式 | 計算による補正が中心(最新世代はAIも活用) | AI(機械学習)が前提 |
| フレーム生成 | あり | あり |
| 特徴 | オープンで対応の裾野が広い | 専用ハードを活かした画質に定評 |
表のとおり、いちばん大きな違いは「使えるグラボの範囲」です。DLSSはGeForce RTXシリーズに搭載された専用のAI処理ユニットを使うため、対応グラボ以外では動きません。一方のFSRは、グラボを選ばずに使えるオープンな技術として設計されています(ただし最新のAI型FSRなど一部機能は世代限定です)。
ちなみに、Intelにも「XeSS」という同じ目的のアップスケーリング技術があります。Intel製グラボが気になる方は、Intel Arc Graphicsとは?の解説記事もチェックしてみてください。

まず確認すべきは自分のグラボ!GeForce RTXならDLSS、それ以外ならFSRが基本の選び方だよ!
FSRとDLSSはどっちがきれい?一般的な傾向と考え方
いちばん気になる「どっちがきれいか」ですが、結論としては、同じ条件で比べた場合、AI処理を前提とするDLSSの方が細部の再現に優れていると評価されることが多い、というのが一般的な傾向です。特に髪の毛や金網のような細かい描写、動きの速い場面での映像の乱れにくさで、DLSSが有利とされるケースがよく挙げられます。
ただし、これはあくまで「傾向」であって、「FSRだから画質が悪い」と一括りにするのは正確ではありません。理由は主に3つあります。
- 世代差が大きい:同じFSRでも、古い世代と新しい世代では画質がまったく違う
- ゲームごとの実装差:同じ技術でも、ゲームによって仕上がりの質には差が出る
- 設定と解像度次第:高い解像度で品質重視モードを使えば、違いはかなり分かりにくくなる
実際、FSRは世代を重ねるごとに大きく改善しており、最新のAI型FSRではDLSSとの差はかなり縮まったと言われています。ゲーム中に一時停止してじっくり見比べるわけではないので、普通に遊んでいる分にはどちらも十分きれい、という場面も多いはずです。



画質の感じ方には個人差もあります。比較画像だけで決めつけず、両方使えるゲームなら実際に切り替えて、ご自身の目で確かめるのが確実ですね。
選び方の目安としては、次のように考えるとシンプルです。
- GeForce RTXユーザー → まずDLSSを試す
- Radeonやそれ以外のグラボ → FSRを使う
- 両方使えるゲーム → 一度切り替えて見比べ、画質の好みとfpsのバランスで選ぶ
FSRの使い方と設定のコツ


FSRを使うのに、特別なソフトのインストールは必要ありません。対応ゲームのグラフィック設定に「FSR」や「アップスケーリング」という項目があれば、そこからオンにするだけです。逆に言うと、ゲーム側が対応していなければ基本的に使えないという点は覚えておきましょう。
FSRには画質と軽さのバランスを決める「品質モード」が用意されていて、おおまかに次のような使い分けになります。
| モード | 画質 | 軽くなる度合い | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| クオリティ | 高い | ひかえめ | 画質をなるべく保ちたい |
| バランス | 中間 | 中間 | 迷ったらこれ |
| パフォーマンス | 下がりやすい | 大きい | とにかくfps優先 |
おすすめの手順は、まず「クオリティ」モードから試して、fpsが足りなければ1段階ずつ下げていく方法です。いきなりいちばん軽いモードにすると画質の低下が気になりやすいので、少しずつ調整するのがコツですよ。
また、フレーム生成機能を使う場合は、元のfpsがある程度出ている状態で使うのが基本とされています。元が重すぎる状態で無理にコマを増やすと、操作の反応が遅れて感じられたり、映像に違和感が出たりすることがあるためです。まずはアップスケーリングだけで様子を見て、余裕があればフレーム生成も試す、という順番が安心です。



なるほど〜。まずはクオリティモードで試してみればいいんだね!
まとめ:FSRはグラボを選ばない「軽くてきれい」の強い味方
最後に、この記事のポイントを振り返っておきましょう。
- FSRはAMDが開発したアップスケーリング技術で、低めの解像度で描画してからきれいに拡大する仕組み
- グラボのメーカーを問わず使えるのが最大の特徴(一部のAI機能は新しいRadeon限定)
- DLSSはGeForce RTX専用のAI前提技術で、細部の画質に定評がある
- 「どっちがきれいか」は傾向としてDLSS有利とされるが、FSRも世代を重ねて大きく改善している
- まずはクオリティモードから試して、少しずつ調整するのがコツ
FSRは、「グラボの買い替えはまだ先にしたいけれど、ゲームはもっと快適に遊びたい」という方にこそ試してほしい機能です。設定ひとつで済むので、まずは今遊んでいるゲームの設定画面をのぞいてみてください。
これから新しくゲーミングPCを検討している方は、FSRやDLSSといったアップスケーリング技術への対応も含めてグラボを選ぶと、より満足度の高い1台に出会えますよ。
- FSRはNVIDIAのGeForceでも使えますか?
-
はい、ゲームがFSRに対応していれば、GeForceでも多くの場合利用できます。FSRはグラボのメーカーを問わないオープンな技術だからです。ただしAIを使う最新世代の機能は一部の新しいRadeon専用となっているほか、GeForce RTXシリーズをお使いならDLSSという選択肢もあります。
- FSRをオンにすると画質は必ず下がりますか?
-
仕組み上、いったん低い解像度で描画するため、元の映像と比べると情報量は減ります。ただしFSRの補正のおかげで、クオリティモードであれば違いが気になりにくいことも多いです。画質の低下が気になる場合は、品質モードを1段階上げて調整してみてください。
- FSRとDLSSが両方使えるゲームではどちらを選ぶべきですか?
-
GeForce RTXシリーズをお使いなら、まずDLSSを試すのが一般的な傾向としておすすめです。そのうえで、実際に両方を切り替えて見比べ、画質の好みとfpsのバランスが良い方を選ぶと失敗がありません。感じ方には個人差があるので、ご自身の目での確認が確実です。
- ゲームの設定にFSRの項目が見当たりません。なぜですか?
-
FSRはゲーム側が対応して初めて使える機能のため、そもそも対応していないゲームでは項目が表示されません。また、対応していても「アップスケーリング」「超解像」など別の名前でまとめられている場合があります。設定画面のグラフィック項目を一度隅々まで確認してみてください。









