Gemmaとは、Googleが無料で公開しているオープンモデルのことです。Geminiと名前がよく似ていますが、こちらはモデルの中身そのものが配られていて、自分のパソコンにダウンロードして動かせるという、かなり違う性格を持っています。
そのGemmaが、2026年8月20日にひとつの節目を迎えました。Googleの公式ブログによると、累計ダウンロード数が10億回を突破。あわせて、世界中の開発者が作った成果をまとめた公式ディレクトリもGitHubで公開されています。
とはいえ、初めて名前を見た人が知りたいのは「無料って本当?」「Geminiと何が違うの?」「うちのPCで動くの?」の3つのはずです。この記事では公式ドキュメントの数値をたどりながら、その3つに順番に答えていきます。数値はすべて2026年8月22日に確認したものです。
Gemmaは、Geminiと同じ研究から生まれた「持ち帰れるAI」。モデル自体は無料で、4bitに圧縮すればVRAM 12GBクラスのグラボでも実用的なサイズが動きます。
- Geminiはクラウドで借りるAI、Gemmaは手元にダウンロードして所有するAI
- 現行はGemma 4の5モデル。公式が示すメモリ目安は4bitでE2B 2.9GB〜31B 17.5GB(2026年8月22日確認)
- 累計10億ダウンロード突破と派生モデル10万種超をGoogleが発表(2026年8月20日)
Gemmaとは?Googleが無料で公開している「持ち帰れるAI」

Gemmaとは、Geminiの開発に使われたのと同じ研究と技術から作られた、軽量なオープンモデルのファミリーです。Googleの開発者向けドキュメントはGemmaをこう定義し、モデルの重み(ウェイト)が公開されているので、アプリや自分のハードウェア、モバイル端末、自前のクラウドで動かせると説明しています(2026年8月22日確認)。
この「重みが公開されている」状態をオープンウェイト(=モデルの中身の数値データそのものが配られ、手元にダウンロードして動かせる状態)と呼びます。毎回どこかの会社のサーバーにお願いする使い方とは、そもそもの成り立ちが違うわけです。
配布先はKaggle ModelsとHugging Face。どちらも無料のアカウントがあれば入手でき、ダウンロードしたあとは手元だけで完結します。インターネットにつながっていない状態でも文章を作れるのは、この形ならではです。
2026年8月20日、Googleは公式ブログでGemmaファミリーの累計ダウンロード数が10億回を突破したと発表しました。開発者が公開した派生モデルは10万種類を超え、この広がりをGoogleは「Gemmaverse(ジェマバース)」と呼んでいます。
あわせてGitHubで「Awesome Gemma」という公式ディレクトリも公開されました。コミュニティ製のプロジェクト、ファインチューン(=公開されたモデルを自分のデータで追加学習させ、用途に合わせて作り替えること)済みのモデル、チュートリアル、開発者向けツールが一覧で並んでいます。
使われ方も想像以上に幅広く、Googleは活用例としてNASA・Satlyt・Starcloudが軌道上でGemmaを動かした事例、医療向けのMedGemma、Georgia Techと開発したDolphinGemma、がん治療の研究に使われたC2S-Scaleを挙げています。
Kaggleで開かれた「Gemma Challenge」に1,600件を超えるプロジェクトが集まったことも、公式ブログで紹介されています。研究の現場から個人の趣味まで、幅の広さがそのまま数字に表れた形です。

10億回はGemma全体の累計です。2026年8月20日の発表時点の数字で、今も増え続けています。
GeminiとGemmaは何が違う?


よくある疑問:GeminiとGemma、名前が一文字違いだけど中身も同じもの?
作った会社も、土台になった研究も同じです。決定的に違うのはAIが動く場所。Geminiはグーグルのサーバーで動き、Gemmaは自分のパソコンの中で動きます。ここさえ押さえれば、料金も上限も必要なPCも、すべて説明がつきます。
| 比べる点 | Gemini | Gemma |
|---|---|---|
| 動く場所 | Googleのサーバー(クラウド) | 自分のPC・スマホ・自前のサーバー |
| モデルの中身 | 非公開 | 公開(ダウンロードできる) |
| 料金の考え方 | 無料枠+有料プラン。API利用は従量課金 | モデル自体は無料。PC代と電気代は自分持ち |
| 使用回数 | プランごとの上限あり | 自分のPCが動く限り上限なし |
| 必要なPC | ブラウザが動けば十分 | モデルに見合ったメモリ・VRAMが必要 |
| 向いている場面 | とにかく賢い答えがほしいとき | 手元で完結させたい・大量に処理したいとき |
たとえるなら、Geminiはお店で作ってもらう料理、Gemmaは材料を持ち帰って自分の台所で作る料理です。お店のほうが手間なく美味しく仕上がりますが、持ち帰りなら好きな時間に、好きなだけ、材料を外に出さずに作れます。
賢さそのものは、一般にクラウドの大きなモデルに分があります。手元のAIは賢さを少し譲るかわりに、通信もアカウントも要らない身軽さを手に入れる——そう考えると、どちらを使う場面かを判断しやすくなります。
ChatGPTやほかのオープンモデルとの立ち位置
ChatGPTもGeminiと同じく、会社のサーバーで動くクラウド型です。ブラウザやアプリからアカウントで使う「借りるAI」という点では同じ側にいて、その中でGemmaだけが手元に持ち帰れる側に立っている、と整理すると分かりやすいはずです。
では手元に置けるのはGemmaだけかというと、そうではありません。MetaのLlama、AlibabaのQwenなど、重みを公開しているモデルはほかにもあります。Gemmaはオープンモデルという広い枠の中の有力な一つ、というのが正確な位置づけです。
ダウンロード数で見てもGemmaが最多というわけではなく、2026年8月時点ではQwenが累計30億回を超えて先行していると報じられています。それでもGemmaが入口として勧めやすいのは、必要なメモリや対応言語といった判断材料が公式ドキュメントに数値で整理されているからです。
ちなみにクラウド側のGemini自体の使い勝手が気になる方は、GeminiとChatGPTの違いをまとめた記事もあわせてどうぞ。この記事はここから先、手元で動かすGemmaの話に絞ります。
Gemma 4は5種類|E2B〜31Bの違いと選び方


現在の現行世代はGemma 4です。公式ドキュメントによると、テキスト・画像・音声の入力に対応し、最大256Kのコンテキストウィンドウをサポートします。初代Gemmaの公開が2024年2月21日ですから、2年半で4世代目という速さです。
Gemma 4は2026年3月31日に初版が公開され、4月にマルチトークン予測版、6月に「12B Unified」が加わりました。世代の中身は今も動いているので、他サイトの情報を見るときは更新日を確かめてください。現在のラインナップは次の5つです。
| モデル | パラメータ | 想定される使い場所 | コンテキスト |
|---|---|---|---|
| E2B | 有効2.3B | スマホ・エッジ・ブラウザ | 128K |
| E4B | 有効4.5B | スマホ・エッジ・ブラウザ | 128K |
| 12B Unified | 11.95B | マルチモーダル統合型 | 256K |
| 26B A4B | 総25.2B(アクティブ3.8B) | 一般向けGPU〜サーバー | 256K |
| 31B Dense | 30.7B | ワークステーション・サーバー | 256K |
先頭の「E」はeffective(有効)の頭文字で、実際に計算へ使われるパラメータ数を指します。「26B A4B」は全体で25.2B分の知識を持ちながら、1回の生成では3.8B分だけを働かせるという意味で、この仕組みをMoEと呼びます。表記の読み方はMoEとは?「26B-A4B」表記の意味を解説した記事で詳しく扱っています。
選ぶときは、5つを3グループに分けて考えると迷いません。
- E2B・E4B:スマホや軽量ノートでも動く入門枠。まず触ってみる用
- 12B Unified・26B A4B:ゲーミングPCのグラボで狙える本命枠
- 31B Dense:VRAMを潤沢に積んだ環境向け。普通のゲーミングPCには重い
コンテキストの128K・256Kは、AIが一度に読み込んで覚えていられる文章量の上限です。数字が大きいほど長い資料をまるごと渡せますが、そのぶん動かすときのメモリも増えます。
自分のPCで動く?VRAM別・動かせるGemma早見表
ここがこの記事の本題です。Googleの公式ドキュメントには「Gemma 4推論メモリ要件」という表があり、モデルを読み込むのに必要なメモリ量の目安がGB単位で示されています(2026年8月22日確認)。
| モデル | BF16(圧縮なし) | 8bit | 4bit |
|---|---|---|---|
| E2B | 11.4GB | 5.7GB | 2.9GB |
| E4B | 17.9GB | 8.9GB | 4.5GB |
| 12B | 26.7GB | 13.4GB | 6.7GB |
| 26B A4B | 57.7GB | 28.8GB | 14.4GB |
| 31B | 69.9GB | 34.9GB | 17.5GB |
4bitの列を見ると、圧縮なしなら26.7GB必要な12Bが6.7GBまで下がっています。この量子化による圧縮を使うかどうかで、狙えるモデルの範囲はまるごと変わります。仕組みは量子化とは?AIモデルが4bitで軽くなる仕組みの記事にまとめました。
この数値を、実際に売られているグラフィックボードのVRAM容量に当てはめたのが次の表です。数値そのものは公式値ですが、容量への当てはめは目安で、使うソフトや設定によって前後します。
| VRAM | 4bitで狙える範囲 | 8bitで狙える範囲 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 8GB | E2B・E4B | E2B | 12B(6.7GB)は数字上入るが余白がほぼ残らない |
| 12GB | 12Bまで | E2B・E4B | 12Bを普段づかいできる最初のライン |
| 16GB | 26B A4Bまで | 12Bまで | 26B A4B(14.4GB)がぎりぎり視野に入る |
| 24GB | 31Bまで一通り | 12Bまで余裕 | 長い文章を扱っても余白が残る |
この表はモデルを読み込む分だけの目安です。長い会話や大きな画像を扱うと必要量はここから増えるため、VRAMぴったりの構成は避けてください。
あらためて全体を眺めると、家庭のPCで現実的に狙えるのはE2BからA4Bまで。31Bは4bitでも17.5GB必要なので、VRAM 24GB級の環境が前提になります。VRAMの考え方やGPUの選び方はローカルLLMに必要なVRAMは何GB?の記事で詳しく扱っています。



迷ったらVRAM 12GBを最初の目標にすると、選べるモデルが一気に広がります。
\グラボ搭載モデルの価格帯をチェック/
動かす方法と、始める前に知っておきたいこと
Gemmaを試す道は大きく3つあります。手間の少ない順に並べると、自分がどこから入ればいいか見えてきます。
Google AI Studioを開けば、何もインストールせずにGemmaへ話しかけられます。PCのスペックも関係ありません。まず答え方の癖を知るなら、ここから始めるのが一番早いです。
LM Studioは、モデルを選んでダウンロードし、チャット画面で使うところまでをマウス操作で完結できます。手元で動かす第一歩としては、いちばん迷いにくい方法です。
Ollamaは動作が軽く、ほかのアプリと組み合わせやすいのが強みです。モデルの入れ替えも一行で済むので、慣れてきたらこちらへ移ると扱いやすくなります。
配布ファイルの容量と、必要なメモリは別物
Ollamaの公式ライブラリでGemma 4の配布サイズを見ると、e2bが7.2GB、e4bが9.6GB、12bが7.6GB、26bが18GB、31bが20GBと並んでいます(2026年8月22日確認)。
ここで「7.6GBならVRAM 8GBで足りる」と読んでしまうのが、いちばん多い勘違いです。これはダウンロードするファイルの容量であって、動かすときに必要なメモリ量ではありません。
e2b(7.2GB)が12b(7.6GB)とほとんど同じ数字なのも、配布時の圧縮設定が違うからです。ファイルが小さい=軽い、とは限りません。動くかどうかの判断は、前の章の公式メモリ表で行ってください。
日本語は使えるのか
公式のモデルカードによると、Gemma 4は140以上の言語で事前学習され、35以上の言語をそのままサポートしています(2026年8月22日確認)。日本語でのやり取りも想定の範囲内です。
ただし学習データは2025年1月までとされています。それ以降に起きた出来事は知らないので、最新のニュースを聞く用途には向きません。手元で完結させたい作業や、決まった形式の文章づくりのほうが相性は良いはずです。
ライセンスと「無料」の範囲
Gemma 4のモデルカードには、ライセンスとしてApache 2.0が明記されています(2026年8月22日確認)。一般には商用利用も視野に入る条件ですが、実際に仕事で使うなら配布元の利用条件を必ず自分の目で確かめてください。条件は更新されることがあります。
もうひとつ、モデルが無料でも動かすPC代と電気代は自分持ちです。クラウドのAPI経由で使う場合は、そちらの従量課金が別に発生します。料金体系は変わりやすいので、最新の条件は公式サイトで確認するのが確実です。



ブラウザで試す分にはPCのスペックは関係ありません。相性を確かめてから、手元に入れるか決めれば十分です。
まとめ
- Gemmaは、Geminiと同じ研究から作られたGoogleのオープンモデル。重みが公開され、手元にダウンロードして動かせる
- 2026年8月20日、累計10億ダウンロード突破と派生モデル10万種超をGoogleが発表。GitHubで公式ディレクトリも公開された
- 現行のGemma 4は5モデル。4bitでの必要メモリはE2B 2.9GB〜31B 17.5GB(公式値・2026年8月22日確認)
- ライセンスはApache 2.0。モデルは無料でも、PC代と電気代は別にかかる
最初の一歩は、ブラウザでGemmaに一度話しかけてみることで十分です。答え方が自分の用途に合いそうだと感じてから、手元に入れる話を考えれば無駄がありません。
そのうえで本気で手元に置くつもりなら、狙う一本の線はVRAM 12GBです。12Bが4bitで6.7GB、余白を持って動かせて、上の16GBへ手を伸ばせば26B A4Bも見えてきます。ここを基準にPCを見比べると、必要以上に高い構成を選ばずに済みます。
- GemmaとGeminiでは、どちらが賢いのですか?
-
一般には、クラウドで動く大きなモデルのほうが総合力で上と考えられています。Gemmaは手元のPCに収まるサイズへ絞り込んだモデルなので、条件がそもそも違います。
賢さより「外に情報を出さない」「回数制限がない」「オフラインで動く」を優先したい場面でGemmaを選ぶ、という使い分けが現実的です。
- 本当に無料で使えますか?
-
モデル本体は無料で入手できます。Gemma 4のモデルカードにはライセンスとしてApache 2.0が記載されています(2026年8月22日確認)。
ただし動かすPCの費用と電気代はかかり、クラウドのAPI経由なら別途その料金が発生します。利用条件は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトで確認してください。
- グラフィックボードのないPCでも動きますか?
-
小さいモデルなら、CPUと本体メモリだけでも動かせます。Gemma 4のE2Bは4bitで2.9GB、E4Bでも4.5GBが目安なので、メモリに余裕のあるPCなら試せる範囲です。
ただし返答が出てくる速さは、グラボがある環境と比べてかなり落ちます。実用的な速度で使いたいなら、VRAMを積んだGPUを前提に考えるのが無難です。
- Ollamaで18GBと表示されたモデルは、VRAM 18GBあれば動きますか?
-
その数字はダウンロードするファイルの容量で、必要なVRAM量とは別のものです。同じモデルでも配布時の圧縮設定によって表示は変わります。
動くかどうかは、この記事の「Gemma 4推論メモリ要件」の表を基準に判断してください。あわせて、会話が長くなるほど作業領域が別に必要になる点も見込んでおくと安全です。
関連記事












