Decisions APIは、OpenAIが2026年10月6日にベータ公開した開発者向けのAPIです。「ChatGPTの新機能?」と思いがちですが、ChatGPTアプリの機能ではありません。
アプリから POST /v1/decisions を呼んで使う仕組みで、ChatGPTのPlusやProの料金にAPIの利用は含まれず、別課金です。OpenAIのヘルプ記事も、APIはChatGPTとは別に請求されると説明しています。
ニュースで名前を見て気になった方や、問い合わせの振り分け・画像チェックを自分のアプリに組み込めるか知りたい方に向けて、できること・導入・使い方・料金・向く用途を公式情報で順に整理します。
- Decisions APIは、文章や画像を判定して決まった形の答えを返すOpenAIの開発者向けAPI
- ChatGPTアプリの機能ではなく、Plus・Proとは別のAPI課金が必要
- 質問の型はpredicate・choice・scoreの3つで、モデルはGPT-6 Lunaのみ
- 料金は入力100万トークンあたり0.10ドルで、出力には課金なし
- 文章生成や項目抽出はStructured Outputs、ツール呼び出しはfunction callingが向く
Decisions APIとは?OpenAIの開発者向けAPIでChatGPTの機能ではない

Decisions APIとは、テキストや画像を評価して、型の決まった答えを返すOpenAIのAPIです。エンドポイントは POST /v1/decisions、モデルはGPT-6 Lunaだけで、2026年10月7日時点では公開ベータです。
通常の生成AIのように自由な文章を書くのではなく、答えは確率・選択肢・段階のどれかの形で返ります。
公式ガイドは、Responses APIより約10倍速く、GA(一般提供)は数週間以内の予定と説明しています。用途は分類・振り分け・優先順位付けです。
ChatGPTの画面では使えず、PCのGPUも不要
ChatGPTの画面には出てきません。計算はOpenAIのサーバー側で行われ、PCにGPUは要りません。

開発者が自分のアプリから呼び出す窓口、と考えると分かりやすいです。
発表から公開までの流れ
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 9月29日(米国時間) | DevDay 2026で限定プレビューとして発表 |
| 10月6日 | ベータ公開。利用枠がBuild・Launch・Growの3段階に |
| 10月6日(米国時間) | Python SDK(openai 3.26.0)とNode.js SDK(openai 7.30.0)が対応 |
| 未定 | GAは「数週間以内」の予定 |
出典はChangelogとOpenAIの発表記事、SDKの対応はPython版とNode.js版の更新履歴です。DevDay全体はDevDay 2026発表まとめで紹介しています。
decisions.com・DecisionRulesとは別物
ローコード業務自動化のDecisionsや、ルールエンジンのDecisionRulesは別会社のサービスで、OpenAIのDecisions APIとは無関係です。
Decisions APIでできること|3つの質問型と返ってくる答え
リクエストは3つのパーツ
リクエストはmodel・input(判定の材料)・questions(評価する内容)の3つです。質問ごとに一意のnameを付けると、返り値のanswersにも同じnameが入ります。
predicate・choice・scoreの違い
| 型 | 使い道 | 返ってくる値 |
|---|---|---|
| predicate(条件判定) | 条件を満たすか | 確率(0〜1) |
| choice(選択) | 選択肢から1つ選ぶ | 選んだ値・確率・confidence |
| score(段階評価) | 段階で評価する | スコア(段階番号の加重平均)・確率・confidence |
scoreは、0から始まる段階の番号を確率で重み付けした平均です。公式例の0.1・0.7・0.2なら、0×0.1+1×0.7+2×0.2=1.1。段階の間の値も返ります。
choiceには、どれにも当てはまらない入力の受け皿「other」を用意するのが公式のおすすめです。otherになった入力は、アプリ側で人の確認待ちに回せます。
Decisions APIの導入方法|アカウント作成からPython SDKまで
公式のクイックスタートとDecisionsのガイドをもとに、Decisions APIを使い始めるまでの流れを6ステップにまとめました。
platform.openai.com でAPI用のアカウントを作ります。
APIの請求設定(Billing)で支払い方法を登録し、クレジットを前払いで購入します(最低5ドル)。gpt-6-lunaはFree段階が非対応の表示で、累計5ドル購入のBuild段階からが目安です。
購入画面の「Use auto-reload」(残高が設定額を下回ると自動で追加購入する設定)は最初からオンです。不要ならオフにしてから購入を確定しましょう(OpenAIヘルプ)。
APIキーのページでAPIキー(=利用者を見分ける秘密の文字列)を作り、環境変数に設定します。キー全体が表示されるのは作成時だけなので、その場で安全な場所に控えてください。キーは人に見せず、コードにも直接書かないでください。
macOS・Linuxは export OPENAI_API_KEY="your_api_key_here"、PowerShellは setx OPENAI_API_KEY "your_api_key_here" で設定します。your_api_key_here は自分のキーに置き換えます。
コード例は次の「使い方」で紹介します。
pip install --upgrade openai で入れます(公式手順の pip install openai だけだと、古い版が入っていても更新されません)。対応はopenai 3.26.0(米国時間10月6日公開)からで、Python 3.10以上が必要です。
Windowsで試すときの注意
Windows PowerShell 5.1の「curl」はInvoke-WebRequestの別名なので、本物は curl.exe と打ちます(Microsoft Learn)。
curl.exeに替えるだけでは公式例は動きません。PowerShellでは行末の \ で行がつながらず、キーは $env:OPENAI_API_KEY と書く必要があり、5.1ではJSONの " も消えます。公式例はbash向けなので、Git Bash・WSLかPythonが確実です。
setxで設定した環境変数は、ターミナルを開き直してから有効になります。WSLにはWindows側の環境変数が基本的に引き継がれないため、WSLで試すときはWSLの中で export を実行します(Microsoft Learn)。



Windowsで迷ったら、Pythonから呼ぶのが手軽です。
Python SDKとNode.js SDK
Python SDKでは client.decisions.create で呼び出します(更新履歴)。Node.js向けSDKもopenai 7.30.0(米国時間10月6日公開)で対応し、同じ名前のメソッドがあります。
Pythonで試すなら、次のコードを decision_test.py などの名前で保存し、python decision_test.py で実行します。APIキーは環境変数から自動で読み込まれます。
from openai import OpenAI
client = OpenAI()
decision = client.decisions.create(
model="gpt-6-luna",
input="The package arrived with a broken screen.",
questions=[{
"type": "predicate",
"name": "damaged",
"instructions": "Does the customer report a damaged item?",
}],
)
print(decision.answers)
公式APIリファレンスのPython例の書き方に、後で紹介するcurl例(破損の報告かを聞くpredicate)と同じ値を当てはめたものです(当サイトで組み合わせ)。
Decisions APIの使い方|テキスト・画像・複数の質問と結果の読み方
テキストを判定する(predicate)
公式のAPIリファレンスの例は、「画面が割れた荷物が届いた」という文が破損の報告かを聞くものです。
curl https://api.openai.com/v1/decisions \
-H "Content-Type: application/json" \
-H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" \
-d '{
"model": "gpt-6-luna",
"input": "The package arrived with a broken screen.",
"questions": [
{
"type": "predicate",
"name": "damaged",
"instructions": "Does the customer report a damaged item?"
}
]
}'
{
"model": "gpt-6-luna",
"answers": [
{"type": "predicate", "name": "damaged", "probability": 0.95}
],
"usage": {
"input_tokens": 42,
"input_tokens_details": {"cached_tokens": 0, "cache_write_tokens": 0},
"output_tokens": 0,
"output_tokens_details": {"reasoning_tokens": 0},
"total_tokens": 42
}
}
破損の報告である確率は0.95。入力は42トークンで、出力は0トークンです。
選択肢から選ぶ(choice)
公式ガイドの例は、二重請求の苦情をどの部署に回すかを選ばせます。
curl https://api.openai.com/v1/decisions \
-H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "gpt-6-luna",
"input": "I was charged twice for my order.",
"questions": [{
"type": "choice",
"name": "department",
"instructions": "Which department should handle this complaint?",
"choices": [
{"value": "billing", "description": "Payments, invoices, and refunds."},
{"value": "technical", "description": "Problems using the product."},
{"value": "shipping", "description": "Delivery and tracking."},
{"value": "other", "description": "Requests outside these categories."}
]
}]
}'
返り値の抜粋では、billingが確率0.95で選ばれ、confidence(確信度の目安の数値)は0.93でした。
画像と複数の質問
画像はuserメッセージのinput_imageで、base64のdata URL(画像を文字列に変換して直接書き込む形式)として渡します。外部URLの画像は使えません。1回で最大128枚です。
独立した質問は1回のリクエストにまとめ、前の答えに依存する判断はリクエストを分けます。
結果の読み方としきい値
しきい値は、自分のラベル付きの例で、誤検知と見逃しのコストを比べて決めるのが公式の考え方です。答えの代わりにrefusal(回答拒否)が返ることもあります。
音声は直接入れられません。音声の会話はLive APIに任せ、聞き取った指示からDecisions APIで実行する操作を選ぶ方法が公式ガイドにあります。
Decisions APIの料金|入力トークンだけの課金と早見表
料金のしくみ
2026年10月7日に公式ガイドとモデルページで確認した料金です。最新は公式で確認してください。
| 項目 | Decisions APIの料金 |
|---|---|
| 入力 | 100万トークンあたり0.10ドル |
| 出力・キャッシュ | 課金なし |
| 地域処理 | 10%の割増 |
| 272Kトークン超の入力 | リクエスト全体の入力単価が2倍 |
出力に課金がないのが特徴です。通常のGPT-6 Lunaは出力に100万トークンあたり0.50ドルかかります(Lunaの料金比較)。
件数別の料金早見表
| 1件の入力 | 1,000件 | 1万件 | 10万件 |
|---|---|---|---|
| 42トークン | 約0.0042ドル | 約0.042ドル | 約0.42ドル |
| 500トークン | 0.05ドル | 0.50ドル | 5.00ドル |
| 1,000トークン | 0.10ドル | 1.00ドル | 10.00ドル |
割増なしの計算上の目安です。質問文や画像も入力に含まれます。トークン(=AIが文章を数える単位)はAIのトークンとは?で解説しています。
利用枠はBuild段階が目安
2026年10月7日時点のモデルページの利用枠の表で、gpt-6-lunaはFree段階が非対応なので、試すなら累計5ドル購入のBuild段階が目安です(段階の条件は利用枠の公式解説)。5ドルは計算上、入力5,000万トークン分です。
Decisions APIが向く用途・向かない用途と使う前の注意点


向いているプロジェクト
- 問い合わせ窓口:「二重に請求された」などの苦情を、請求・技術・配送・その他の担当へ振り分ける(choice)
- 商品写真の検品:ひび・破れ・へこみなど目に見える破損がある確率を出し、しきい値を超えた写真を人の確認に回す(predicate)
- 不具合報告の受付:「見た目だけ」「回避策あり」「回避策なし」の3段階で深刻度を付け、対応の優先順位を決める(score)
- 音声操作・AIエージェント:「このページを再読み込みして」という音声の文字起こしと画面の状態から、戻る・再読み込み・何もしないのうち実行する操作を選ぶ(choice)
向かないものと他のAPIとの違い
答えは確率・選択肢・段階の3つに限られるため、文章を書かせる、書類から値を抜き出す、ツールに渡す値まで作らせるといった用途には向きません。候補から行動を1つ選ぶだけなら、Decisions APIで足ります。
| やりたいこと(例) | 使うもの |
|---|---|
| 判定・分類・段階評価(問い合わせの振り分け、商品写真の破損チェック、不具合の深刻度) | Decisions API |
| 説明文を書かせる、請求書から金額や日付を抜き出す(決めたJSONの形で受け取る) | Structured Outputs(Responses API) |
| 日付や個数などの引数(=機能に渡す値)をAIに決めさせ、予約や在庫確認の機能を呼び出す | function calling |
表は公式ガイドの使い分けをもとにしています。同じように分類や評価を確率付きで返す他社のモデルには、TypeSafe AIのJevもあります(Jevとは?料金・使い方と登録制限)。
使う前の注意点
- 公開ベータなので仕様が変わり得る
- 送ったデータはオプトインしない限り学習に使われない
- 不正利用の監視ログは最大30日保持。送信内容をこのログに残さないZDR(Zero Data Retention)や、米国の医療情報の法律HIPAAに沿った利用は、条件を満たす顧客だけが対象
- データを保存・処理する地域の指定は対象顧客のみ。米国以外は審査と追加契約も必要で、地域内の処理は米国と欧州のみ
- 日本語の精度は公式データがなく、自分の例で確かめる
返る確率はモデルの推定なので、判定が外れることもあります。判定結果をそのまま実行せず、人が確認する流れも用意しましょう。
まとめ:Decisions APIは判定と振り分けのための部品
最後に、Decisions APIのポイントを整理します。
- POST /v1/decisionsで呼ぶAPIで、ChatGPTアプリからは使えない
- 答えは確率・選択肢・段階のどれかで、nameで見分ける
- 1件42トークンなら、1万件で約0.042ドルの計算
- しきい値は自分のデータで決め、人の確認も挟む
判定や振り分けが目的なら、まずPlayground(要ログイン)で自分の例を数件試し、公式ガイドで最新の仕様を確かめてから組み込みましょう。項目の抽出や説明文の生成が目的なら、Responses APIのStructured Outputsが向いています。
- Decisions APIはChatGPTのPlusで使えますか?
-
ChatGPTアプリの機能ではないため使えません。APIの請求設定で支払い方法を登録して使います。
- Decisions APIは無料で試せますか?
-
gpt-6-lunaはFree段階が非対応の表示で、累計5ドル購入のBuild段階が目安です。最新の条件は公式で確認してください。
- 日本語の文章も判定できますか?
-
日本語の精度を示す公式データは見当たりません。自分の例で試してから使いましょう。
- 高性能なPCやGPUは必要ですか?
-
不要です。処理はOpenAIのサーバー側で行われます。WindowsならGit BashのcurlかPythonで試せます(PowerShellでは、公式のcurl例はそのままでは動きません)。
- Decisions APIの選択肢の数に上限はありますか?
-
2026年10月7日時点のAPIリファレンスに、選択肢の数の上限は書かれていません。選択肢は意味が重ならないように分け、受け皿のotherを用意しましょう。









